【宿曜占星術】宿の性格解釈が曖昧な理由

宿曜占星術に関してメールをいただいたのでお答え致します。

過去記事の「おさらい」も兼ねて。


宿曜占星術の解釈が曖昧な理由

H様へ、初めまして。ご来訪とメールに感謝致します。

きっと他の皆さまも感じている疑問だと思いましたので、引用させてください。


--引用始まり--

私も占い・占術が好きで、自分でも占ったり研究したり考察したりしているのですが、この宿曜占星術だけは、「はっきりしない」「謎が多い」と感じておりました。


・一般的に、「◎宿の性格」として、本や自動占いサイトで述べられているものは、計算で導き出した宿曜星とは無関係に、性格を27通りに分類したものである。


・例えば同じ房宿の生まれであっても、氏宿から切り替わったばかりの房宿の人は、氏宿の性格に近い人もいたり、逆に心宿に切り替わる直前の房宿の人は、心宿の性格を多く持っていたりとかで、性格がキッチリ27分類出来るわけでもない。


・宿曜占星術も、本来は、西洋占星術と同じように、月だけではなく、太陽や水星、金星をはじめとした諸惑星にも宿星を割り振って占うが、例えば月の宿星(本命宿)が亢宿の人の場合で、本命宿は亢宿で合ってるんだけれども、諸惑星を含めて全体を考察したら、角宿っぽい性格になったため、本人の性格が角宿の方がよく当てはまって、結果、相性占いとしても角宿で占う方が当たるという状態になる。


・そもそも27の宿には、明確な境界線が存在していないのかもしれない。

…などと、色々考察をしておりましたところ、吉野さんのブログを見つけまして、読んでおりましたが、宿曜占星術の謎の部分に関して、ご意見やお考えをと思いまして、メッセージ致しました。

--引用終わり--


メッセージありがとうございます。各項目に分けてお答えしていきます。


計算とは無関係に27分類する?

>「◎宿の性格」として、本や自動占いサイトで述べられているものは、計算で導き出した宿曜星とは無関係に、性格を27通りに分類したものである。


このお話はよく分かりませんでした……すみません。

「計算で導き出した宿曜星とは無関係に、性格を27通りに分類したもの」と解説しているサイトがどこかにありましたか?

おそらくそのサイト主さんは何か勘違いされているのだろうと思います。


まず、基礎からご説明致します。


宿曜占星術は西の占星術がもと。今で言う「西洋占星術」と源流は同じです。

複雑な天文計算を必要とした占星術の「簡易版」として、インドで開発されました。

簡易版ですから「月」のみで占います。


これが中国に渡り、日本には密教の経典として伝来しました。

このような歴史から、宿曜占星術には大きく分けると二つの手法があります。


ひとつめは中国の暦にて、28宿で占う手法。

もうひとつはインド古典の暦で占う手法。

(現代では月星座から強制的に宿を分ける手法もありますが、信頼に足る手法ではないのでここでは省きます)


27に分類するのはインド式です。

中国暦と全く異なり、白道(月の軌道)を基礎としたインド式の計算法で宿を導き出します。その年ごとに異なる月軌道の計算が必要で、やや複雑。単純な法則では計算できません。

東アジアで一般的に「宿」と言った場合は中国歴の28宿を意味しますが、27宿は必ずこれとズレます。


このため、中国の28宿だけが正しい計算だと思っている方の目から見れば

「宿曜星とは無関係に、勝手に27通りに分けているだけ」

と思えるのかもしれません。

しかし27宿もインドなりの理屈で計算したものです。

決して「計算とは無関係」に勝手な27分類をしたものではないし、性格を恣意的に27分類したものでもありません。


同じ宿生まれの人が、様々な性格を宿す理由

>例えば同じ房宿の生まれであっても、氏宿から切り替わったばかりの房宿の人は、氏宿の性格に近い人もいたり、逆に心宿に切り替わる直前の房宿の人は、心宿の性格を多く持っていたりとかで、性格がキッチリ27分類出来るわけでもない。


そうですね、人はたったの27分類で分けられるほど単純ではありませんよね。

これは占いに向かう誰もがきちんと理解しておくべき根本的な話と思います。


ただ、H様のお話にある

「氏宿から切り替わったばかりの房宿の人は、氏宿の性格に近い人もいたり、逆に心宿に切り替わる直前の房宿の人は、…」

これは西洋占星術の星座解釈をするときの考え方でしょう。

おそらく誰かが西洋占星術の月星座を解釈するときの手法を真似て、オリジナルで考え出した占い方ではないでしょうか?

宿曜占星術には本来このような考え方はなかったはずです。


「星座(サイン)境界近く生まれの人は前後のサインを含めて解釈する」

そのように西洋占星術的な手法を採るなら、そもそも始めから西洋占星術で月を見るべきと思います。

宿では少々無理があるやり方です。

何故なら同じ宿となる日の同じ時間であっても、毎回同じ位置に月があるわけではないからです。


【例】ある年の「斗宿」は山羊座前半にあったが、別の年の「斗宿」は射手座後半にあり、また別の年では蠍座にある。

 参考 ⇒斗宿に当たる日の月運行


これら毎回その宿に当たる日に月が通過する可能性がある星座全てをミックスした解釈が宿であると私は考えています。占星術を「簡易版」にするため工夫した、インド占星術師たちの天才ぶりが表れています。


補足:なお、同じ宿の人が様々な人格を宿しているように見えるのはミックス技の他にも理由があります。宿曜占星術は「月」という一点を切り取って見るシンプルな手法だからです。月は一時期の人格を表すのみで、本質核心とも言い難いのです。


本来は宿も全惑星を使う?

>宿曜占星術も、本来は、西洋占星術と同じように、月だけではなく、太陽や水星、金星をはじめとした諸惑星にも宿星を割り振って占う


……申し訳ありません、私は宿曜占星術でそのような手法を存じ上げませんでした。

少なくともそれは「本来」の宿曜占星術ではないと思います。


どちらのサイトで説明されていたか分かりませんが、やはりそのサイト様オリジナルの占い方だと思います。あるいは近年どこかの先生が提唱されて広まったものか。


宿曜占星術の原典に、

「この占い方は簡易版である。本来は、(古代バビロニア由来の占星術にて)実際の天文を計算し全ての星を使って占うこと」

と説かれていたことは事実のようです。

しかしそれは“古代バビロニア由来の占星術”、つまり今我々が「西洋占星術」と呼んでいる手法の古典版で占うべし、という意味と思われます。

単純に、宿曜占星術にそのまま全ての惑星を当てはめろという意味ではありません。


そもそもが「宿」というものは月の軌道を分割したもので、月を占うもの。ですから、そこへ他の惑星を当てはめるということが理屈が通らず、ちょっと意味不明なのですが……。


最近の私はネット上の宿曜占星術サイトを見て歩くこともなかったのでこの分野の事情に疎くなりました。

どうやら宿曜占星術ジャンルも混沌としてきて、あらぬ方向へ飛んでいるようです。

宿曜で使われている暦など、基本を理解していない人たちがビジネス目的で色々な手法を編み出しているようですね。

このような状況では、H様が「謎が多い」と思われることも当然と思います。


どのような占いでも「境界」は明解ではない

もちろん「謎が多い」のはどの占いでも同じです。

西洋占星術も様々な手法が生まれており、ネット上でも勝手なことを言っている人たちが多いので混沌としています。


ただ宿曜占星術は西洋占星術と違い、基礎の知識を多くの人が共有していないので、さらに謎が深くなっているらしいなと感じました。

せめて基礎の知識を共有しておけば、あとは表面的な「考え方の違い」「手法の違い」で議論するだけなのですがそれすら不可能な状況のように思われます。


>そもそも27の宿には、明確な境界線が存在していないのかもしれない。


そうですね、これも西洋占星術の星座の解釈ですが、何でも境界は曖昧に考えたほうが良いと思います。

「明確な境界線が存在」しているものなどこの世に無いのですから。


宿曜占星術は「占星術の簡易版」と説かれているように、本来はシンプルに月だけで、日で境界を決めて占います。

しかし人間の人格を解釈するにそれでは不十分ですから、原典にも「可能なら実際の天体で占うべし=慣れてきたら源流の占星術で占いなさい」と捕捉されているのだと思います。


人間の人格は唯一無二。

人の数だけ個性があります。27分類だけでとうてい足るものではありません。

西洋占星術は全惑星の星座、アスペクト(角度の関係性)、さらにリアルタイムの天体との関係も含まれます。

そんな西洋占星術が、今のところ最も人間の全人格を表すに妥当と思います。それですら本当は不十分なのですが。


日運について

最後に、宿曜占星術の日運についてです。


>吉野さんは、日運(栄の日はどういう日で、衰の日はどういう日で…等)の解釈については、どのようにお考えでしょうか。


私は、日運などの運命占いは補足程度に考えるべきと思っています。

物事をスタートする際などに参考にするのは構いませんが、あまり気にし過ぎないほうがいいでしょう。

日運に囚われて極端な行動を取るほうが遥かに危険だからです。


占いサイトを運営している者として最低な発言かもしれませんが。

私は西洋占星術のほうにより強いシンパシィを感じているため、元々「吉凶」で占いを考えることが苦手でして……。

(現代西洋占星術は単純な吉凶占いに否定的です)


西洋占星術でも天を通過する星の運行にて日々の運勢を探る方法があります。これはかなり精度の高い手法ですが、私はなるべく左右されないよう気を付けています。

未来予測をするのは可能でも、最終的な運命の良し悪しは単純に判断できないからです。


「栄」の日は物事がスムーズに行く日。ただしそれが結果として良いとは限りません。

「衰」の日は物事がうまくいかない日。ただしそれが結果として悪いとは限りません。


一時は悪いと思えた出来事も、最終的には自分を磨いてくれたから結果として良かったということはよくあります。その逆もあり。


このように運命を理解し、受け入れるために日々の占いを使うのが望ましいと思います。

答えになっていますでしょうか?

お役に立てれば幸いです。

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吉野圭 -Yoshino Kei-

専業の占星術師ではありません。退行催眠で得た前世記憶をもとに、占星術で前世を照合する方法を調べています。詳しくは「このサイトについて」にて。著書は小説『我傍に立つ』『僕が見つけた前世』他 amazon出版中。